お絵描き自由画帳 黄色組

絵に関する課題、読書感想など

笑顔が素敵なお客様

ある晴れた日の午後 スーパーでの出来事

不安定な天候が続いていましたが、今日はとても良い天気に恵まれました。こんな日はお客様の顔も明るく、足取りも軽いように見受けられます。

 私も気分良く、商品の補充や整頓をしておりましたところ、それはそれは、満面な笑みを浮かべたお客様が、こちらに向かってこられました。

「こんちには、いらっしゃいませ」と述べ、深くお辞儀をします。

「あの鰻は中国産?」お客様はうれしそうに仰いました。

「鰻でございますか?」はて?当店では、中国産の鰻は販売していないはずですが・・・私とお客様は鰻が陳列されているケースへと向かいました。

「これ、中国産だよね?」お客様は眩しい笑顔でおっしゃいました。

 表示には三河一色産と表示されています・・・・ああそうか、私としたことがこんなことにすぐに気づかないなんて、情けない!

「お客様、申し訳ございませんでした!産地の表示はこちらにございます」

そうですね、確かに産地の表示はほかのものに比べて小さく目立たないところにあります。気づかなくてもしかたのないことです。お客様、眼鏡はおでこのところにございますよ。

「いやいや、中国産だよね?」

困りました、これはいったいどういうことなのでしょうか?もしや、産地偽装を疑われているのでしょうか?もちろん、疚しいことはしておりませんが・・・困りました、どう対処するべきなのでしょうか?

「ほら、これ見てよ・・・・・」お客様は鰻について、とても丁寧に説明してくださいました。豊富な知識をお持ちのようで、尊敬の念に堪えません。

「ね、中国さんでしょ?」素敵な笑顔でございました。

まずいです、どうしましょうか。お客様の知識は確かに正しいのですが、今そこにある鰻はどう見ても、それにあてはまりません。守りたい、その笑顔!お客様には笑顔のままで帰路に付いていただきたい・・・いえいえ、決して早く帰って欲しいなどと思っているわけではございません。絶対死守、その笑顔・・・・と意気込みだけは立派ですが、いい考えが思いつきません。

「そうですね・・・お客様の仰っていることはわかるのですが・・・・」などと言いながら、鰻のパックを手に取り、観察しているふりをしました。時間稼ぎです。

「なっ!それじゃ!」と言って、お客様は素敵な笑顔残し、颯爽と歩いて行かれました・・・・一切振り返ることのない、見事な歩みでした!

そうか!そういうことか!すべての謎がとけました。なんと情けないことでしょうか、お客様のご要望に気づかないなんて!そう、お客様の望んでいたことは、知識でマウントを取ることでした。不覚ですね、すぐに気づくべきでした。ヒントはあったのです。

私が何を申し上げても、「中国産だよね」としか仰ってくださいませんでした。これは明らかに、私の意見など聞く気はないということなのでしょう。そうです、ここがポイントでした。私がすべきことは二つだけでした。

  1. 黙って聞く
  2. 「博識でございますね!勉強不足で申し訳ございませんでした」と申し上げること

これだけです。

まだまだ、修行がたりません。一流店員までの道はまだまだ遠いようです。

そうそう、マウントとマウンテンゴリラは関係ありますか?

 

課題

  1. もっと毒を多めに?分かりやすく?
  2. 会話部分にジョークの一つでも入れるべきか?
  3. 毒のあるジョーク・・相手には気づかれないように微妙な毒を仕込みたい